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  講演「画竜点睛」

2005.07.02 兵庫医科大学平成記念会館
兵庫医科大学開学30周年記事業 平成記念会館竣工式記念講演


2005/7/2 講演「画竜点睛」 (55分) mp3/25.3MB
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   世に画竜点睛を欠く、ということを申します。物事をりっぱに完成するためには最後の仕上げを怠ってはならないというたとえで使っております。中国の古書に水衡記なるものがございます。ここに歴代名画記という項がございまして、この画竜点睛の故事が書いてございます。
 代々、六世紀前半のことでございます。遼の国のある画家が、金遼、現在の南京でございますけれども、そこにあります安楽寺の四面の白壁に一匹づつ四匹の竜を描きます。どの竜を見ましても眼がございません。点睛の睛の字は「まなこ」と読みますが、竜に眼が書いて無いのであります。これを寺の僧が不思議に思いまして「どうして眼をお入れにならないんですか」というふうに問います。その画家が答えて言うには「眼を入れると竜は天に昇ってしまうからだよ」というふうに申します。寺の僧はまさかと驚くとともに自分の技を自慢したいからこのようなデタラメを言うんであろうというふうに思って疑うわけでございます。しかし、それにしても画は非常に良くできております。
 あるとき嘘かまことか確かめようとその寺の僧が密かに竜に眼を入れるのであります。するとどうしたことか、一瞬にして空は掻き曇り雷鳴が轟く中を、その眼を入れた竜が天に昇っていくわけでございます。眼を入れられなかった三匹の竜だけが残ったという話でございます。
 転じて、すこし手を加えるだけでりっぱに完成する意味になりますけれども、水衡記には不思議な画のお話しとしてこれが書いてございます。考えてみますと、この竜は大学の学生さんにも例えられると思います。学生さんは入学したときは真っ白な壁でございます。大学の在学中にその壁に徐々に竜が描かれていって、卒業のころには立派に完成しかかった竜となって誰が最後の眼を入れても天に昇る状態になるのであります。
 この大学の学生さん一人ひとりがこの竜であるわけでございます。後はどなたが眼を入れても画竜点睛となって、立派なお医者さんとなって、世に羽ばたいて行かれるわけであります。これが教育の楽しみでございます。先生方は、後は眼を入れれば完成という手前まで一生懸命鍛えに鍛えて育てておられるのでございます。ただ立派に育て上げてもよく飛び立てないこともございます。私の若い頃の失敗談をちょっと聞いていただきたいと思います。
 私は、五百年以上続く行者家系に生まれました関係で、小さい頃から行をしてまいりました。行では誰にも負けない自信がございました。そして高野山大学に在学しているときは密教の教学を主体に勉強いたしました。あまり勉強には熱心でなかったんですけれど、一応の学問をおさめたわけでございます。大学を卒業して何か世のためになる仕事がしたいと思っておりましたところ、アメリカで真言宗の伝道活動をする開教史に選ばれたのでございます。これは大変な幸運でございました。総本山金剛峯寺が私に期待してくれているということであり、こころが弾んだのでございます。
 開教史というのはなんでも出来なければいけません。だから前もって本山で特訓を受けます。学生時代と違いまして実践に役立つ特訓を積むわけでございます。昭和三十五年頃のお話しでございますから、かなり昔のことでございます。
 当時は、一般庶民にとって海外旅行などは夢のまた夢の時代でございました。それが実現するというわけでございますから厳しい訓練も少しも苦になりませんでした。ひたすら修行しておったのでありますけれども、そのお話しが何故か途中で立ち消えになったのであります。がっかりしておりましたところ、今度は南米のブラジルの開教史の役目がまわってきたのでございます。(55分)




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「画竜点睛」 兵庫医科大学平成記念会館
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